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最近読んだ本 [本の感想]

「これからも何だか生きていけるな~」と思った本2冊。

こちらあみ子

こちらあみ子

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2011/01/10
  • メディア: 単行本


太宰治賞を取り、三島由紀夫賞を取った新人作家さんの小説。

装丁がキレイだなとまず思った。グレーとすみれ色(ラベンダー色かな)を基調としていて、手に取ったとき、ほんわかとした雰囲気が伝わってきた。

賞を受賞した「こちらあみ子」と、太宰賞の受賞後に書き下ろした「ピクニック」からなる一冊なのだが、初めて書いたとは思えないほどすんなりと読める。

主人公はどちらも邪気がない。

あみ子にしても、ピクニックの七瀬さんにしても、自分の思ったとおりに行動をしているがために、そのマイペースぶりがもととなって小さな事件をポロポロと起こすのだけれど、小さな事件が起きるたびに、彼女らを取り巻く人の思いが浮き彫りになっていく。

浮き彫りになったいくつかの思いのいずれかに、読んだ人は共感するのではないかと思った。登場人物の1人に読者はいる…という感じ。

主人公を不快に思う人もいれば、快く思う人もいると思う。

おそらく、いまでいうところの空気の読めない(KYな)人なのだけど、私は快く思うほうだと思う。その素直さに心が打たれた。

また、作者がこういう視点で書けたことにも感動したけれど。

本の帯に三浦しをんさんが「おもしろい、だけじゃない。多様な読みかたができる、豊かで奥行きのある作品です。」と書いているが、そのとおりだと思った。



佐野洋子対談集 人生のきほん

佐野洋子対談集 人生のきほん

  • 作者: 佐野 洋子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/02/04
  • メディア: 単行本


昨年亡くなった佐野洋子さんと西原理恵子さん、佐野洋子さんとリリー・フランキーさんとの対談集。3人とも武蔵美を卒業している同窓生で、ベースに共通体験があるせいか、歳の差も感じられない会話が展開されている。

会話の中心になるのは、「母親のこと」かなと思った。

3人とも自分の母親の話をするのだけど、それがタイトルになっている『人生のきほん』に繋がるのだろう。

人を形成するベースとして母親は必ずあると。自分の母親を考えることで、自分はこうなったのかなと、それぞれが母親を語りながら、明らかにしていくという感じだ。

父親についても会話に出てくるのだけれど、父親というのは何だか微笑ましい存在として3人とも語っているのが面白い。3人とも、それに気づいていたのか…。

佐野洋子さん、西原理恵子さん、リリー・フランキーさんの3人は、作家というか、芸術家というか、イラストレーターだったり、漫画家だったり、役者さんになったりしている人もいるけれど、つかみ所がないようで、普通の人には到底真似のできない生き方をしているように思うが、でもこの会話を読んでみて、「別にどうでもいいんだな」と思えてくる。

型にはまらなくても、生きていけるんだよ、と。





ということで、以上の2冊。これからも生きていけるな~と思えた本でありました。


おしまい。
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めりっさ

「こちらあみ子」面白そうですね。さっそく図書館で予約してきました!
by めりっさ (2011-06-18 14:07) 

toro

*めりっささま*
当初「あみ子」はどうかな~? と思っていたのですが、評判がよかったので
読んでみました。面白かったですよ。新鮮な印象が強く残りました。
by toro (2011-06-19 07:33) 

nakasama

「あみ子」、読みたいリストに入れておきます。
表紙がとっても象徴的でいい装丁ですね。
by nakasama (2011-06-20 09:19) 

toro

*nakasamaさま*
「あみ子」は装丁の色使いがいいですねえ。比較的すんなりと読めるので、
ちょっと時間が空いたときなどにどうぞ^^
by toro (2011-06-21 08:38) 

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