最近読んだ本 [本の感想]
「これからも何だか生きていけるな~」と思った本2冊。
太宰治賞を取り、三島由紀夫賞を取った新人作家さんの小説。
装丁がキレイだなとまず思った。グレーとすみれ色(ラベンダー色かな)を基調としていて、手に取ったとき、ほんわかとした雰囲気が伝わってきた。
賞を受賞した「こちらあみ子」と、太宰賞の受賞後に書き下ろした「ピクニック」からなる一冊なのだが、初めて書いたとは思えないほどすんなりと読める。
主人公はどちらも邪気がない。
あみ子にしても、ピクニックの七瀬さんにしても、自分の思ったとおりに行動をしているがために、そのマイペースぶりがもととなって小さな事件をポロポロと起こすのだけれど、小さな事件が起きるたびに、彼女らを取り巻く人の思いが浮き彫りになっていく。
浮き彫りになったいくつかの思いのいずれかに、読んだ人は共感するのではないかと思った。登場人物の1人に読者はいる…という感じ。
主人公を不快に思う人もいれば、快く思う人もいると思う。
おそらく、いまでいうところの空気の読めない(KYな)人なのだけど、私は快く思うほうだと思う。その素直さに心が打たれた。
また、作者がこういう視点で書けたことにも感動したけれど。
本の帯に三浦しをんさんが「おもしろい、だけじゃない。多様な読みかたができる、豊かで奥行きのある作品です。」と書いているが、そのとおりだと思った。
昨年亡くなった佐野洋子さんと西原理恵子さん、佐野洋子さんとリリー・フランキーさんとの対談集。3人とも武蔵美を卒業している同窓生で、ベースに共通体験があるせいか、歳の差も感じられない会話が展開されている。
会話の中心になるのは、「母親のこと」かなと思った。
3人とも自分の母親の話をするのだけど、それがタイトルになっている『人生のきほん』に繋がるのだろう。
人を形成するベースとして母親は必ずあると。自分の母親を考えることで、自分はこうなったのかなと、それぞれが母親を語りながら、明らかにしていくという感じだ。
父親についても会話に出てくるのだけれど、父親というのは何だか微笑ましい存在として3人とも語っているのが面白い。3人とも、それに気づいていたのか…。
佐野洋子さん、西原理恵子さん、リリー・フランキーさんの3人は、作家というか、芸術家というか、イラストレーターだったり、漫画家だったり、役者さんになったりしている人もいるけれど、つかみ所がないようで、普通の人には到底真似のできない生き方をしているように思うが、でもこの会話を読んでみて、「別にどうでもいいんだな」と思えてくる。
型にはまらなくても、生きていけるんだよ、と。
ということで、以上の2冊。これからも生きていけるな~と思えた本でありました。
おしまい。
太宰治賞を取り、三島由紀夫賞を取った新人作家さんの小説。
装丁がキレイだなとまず思った。グレーとすみれ色(ラベンダー色かな)を基調としていて、手に取ったとき、ほんわかとした雰囲気が伝わってきた。
賞を受賞した「こちらあみ子」と、太宰賞の受賞後に書き下ろした「ピクニック」からなる一冊なのだが、初めて書いたとは思えないほどすんなりと読める。
主人公はどちらも邪気がない。
あみ子にしても、ピクニックの七瀬さんにしても、自分の思ったとおりに行動をしているがために、そのマイペースぶりがもととなって小さな事件をポロポロと起こすのだけれど、小さな事件が起きるたびに、彼女らを取り巻く人の思いが浮き彫りになっていく。
浮き彫りになったいくつかの思いのいずれかに、読んだ人は共感するのではないかと思った。登場人物の1人に読者はいる…という感じ。
主人公を不快に思う人もいれば、快く思う人もいると思う。
おそらく、いまでいうところの空気の読めない(KYな)人なのだけど、私は快く思うほうだと思う。その素直さに心が打たれた。
また、作者がこういう視点で書けたことにも感動したけれど。
本の帯に三浦しをんさんが「おもしろい、だけじゃない。多様な読みかたができる、豊かで奥行きのある作品です。」と書いているが、そのとおりだと思った。
昨年亡くなった佐野洋子さんと西原理恵子さん、佐野洋子さんとリリー・フランキーさんとの対談集。3人とも武蔵美を卒業している同窓生で、ベースに共通体験があるせいか、歳の差も感じられない会話が展開されている。
会話の中心になるのは、「母親のこと」かなと思った。
3人とも自分の母親の話をするのだけど、それがタイトルになっている『人生のきほん』に繋がるのだろう。
人を形成するベースとして母親は必ずあると。自分の母親を考えることで、自分はこうなったのかなと、それぞれが母親を語りながら、明らかにしていくという感じだ。
父親についても会話に出てくるのだけれど、父親というのは何だか微笑ましい存在として3人とも語っているのが面白い。3人とも、それに気づいていたのか…。
佐野洋子さん、西原理恵子さん、リリー・フランキーさんの3人は、作家というか、芸術家というか、イラストレーターだったり、漫画家だったり、役者さんになったりしている人もいるけれど、つかみ所がないようで、普通の人には到底真似のできない生き方をしているように思うが、でもこの会話を読んでみて、「別にどうでもいいんだな」と思えてくる。
型にはまらなくても、生きていけるんだよ、と。
ということで、以上の2冊。これからも生きていけるな~と思えた本でありました。
おしまい。
「こちらあみ子」面白そうですね。さっそく図書館で予約してきました!
by めりっさ (2011-06-18 14:07)
*めりっささま*
当初「あみ子」はどうかな~? と思っていたのですが、評判がよかったので
読んでみました。面白かったですよ。新鮮な印象が強く残りました。
by toro (2011-06-19 07:33)
「あみ子」、読みたいリストに入れておきます。
表紙がとっても象徴的でいい装丁ですね。
by nakasama (2011-06-20 09:19)
*nakasamaさま*
「あみ子」は装丁の色使いがいいですねえ。比較的すんなりと読めるので、
ちょっと時間が空いたときなどにどうぞ^^
by toro (2011-06-21 08:38)