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最近読んだ本…見つけたなり~。 [本の感想]

今年はあまり本が読めないと思っていたら、最近、急に読めるようになってきた。どうやら、読みたくなる本センサーが再起動したらしく、嗅覚よく読める本に出合えるようになってきたのだ。

面白いなあ。

さて、いくつか前の記事に「正しさの人は、他人を幸せにできない」という町山智浩さんの言葉を引用して、中村うさぎさんが「正しさが独善になっている」ということ書いたが、3回連続で結論に至ったような気がするものの、心のどこかでひっかかっていた。

そして、クレイジーケンバンドの横山剣さんが大絶賛していた本を読んでみようと思って、手に取った本がこれ。

因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)

因果鉄道の旅 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 根本 敬
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 文庫


当初、不快感を覚えるような内容のものだったが、ついつい面白いから読み進んでしまう。そして解説を読み終えたときに、「町山智浩」さんの名前が出てきて、プププププと繋がった。

「あ、ここに出てくるような人たちのことを『正しさの人』と言っていたんだ」と。

根本敬さんいわく「あるホシの下に生まれてきた人」…「性質が時空に働きかけ、運命を呼び、運命が性質に次なる影響を及ぼす。その循環運動をホシと呼ぶ」そうなんだが、要するに人の数だけ、その人の中心に天体が廻り、その人の人生が進行している…と根本敬さんは言う。

それで町山智浩さんは、そのホシは人それぞれで異なるけど、その上でヘンテコリンなホシの下にいる人がいう正しさは人を幸せにしないと。そういう人を指して「正しさの人」…と言いたかったのではないかと思う。

何だかちょっとややこしい言い方だが、そこへ行き着いた。

中村うさぎさんが町山智浩さんの言葉を引用しているものの、その引用の前後が分からなかったから、「なんだろうな? どういう意図で言った『正しさ』なのかな?」と考えていたのだけれど、この本を読んで、ああ、そういうことかと思った。

でだ。図らずもmamire姐さんが残してくれたコメントで「アスペルガー?」っていうのがあったけれど、そのアスペルガー? と思うような人物を観察し、分析し、本にしたのが「因果鉄道の旅」であったというオチ。

自分中心に考えているだけではなく、あるホシの下に生まれているから役割はあるのだけれど、空気が読めないから扱いにくいし、譲れない何かを持っているからかたくなにもなる…だけど、人をひきつける磁力が何故かあるという…。

この本では有名どころとして蛭子能収さんと、勝新太郎さんが挙げられている。

蛭子さんを例に挙げるとこんな具合だ。

「…そもそも蛭子さん自体が、他人にどんな失礼な事云っても平気な人間なの。普通だったら云わないような事も、思ったら平気に云うの。口に出すんだよ。見たママに。……すごい太っている女の人がいると、『太ってますねー』とかね。…」。「本当に他人がどう思うかって、全然気にしてないんだよね」と言う。

「事実のみを語る正直者」と蛭子さんのことを言うんだけど、「正直者」=「正しさの人」と受け取れるわけで、これを知った上での「正しさの人」というのは理解できるけど、これを知らないで「正しさの人」というと、誤解を受けまっせ、町山さん…と思った^^;

常識的な人には不快感満載な本です。私は最初不快感を覚えましたが、読み進んでいるうちに何だか楽になりました。変な言い方だけど。

横山剣さんが「でも、やるんだよ!」と言うことと、「無限の大事業」という言葉がここから来ていることも分かったし、そこに感動する意味も分かりました。

これはなかなか勇気をもらえます。面白かった。


(※ちなみに、町山智浩さんが「正しさの人」と言った相手は枡野浩一さんで、どうやらこの本を読んだら分かるらしいです…読んでみようっと…すると上に書いたことはちょっと変わるかもしれない^^:)


結婚失格 (講談社文庫)

結婚失格 (講談社文庫)

  • 作者: 枡野 浩一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 文庫

(中村うさぎさんはこれを読んだんだろうな…)






そしてその「正しさ」と、恐らく格闘してしまった人の本。

再婚生活  私のうつ闘病日記 (角川文庫)

再婚生活 私のうつ闘病日記 (角川文庫)

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/10/24
  • メディア: 文庫


格闘していたら「うつ」になってしまったんだろうなと思った。

器質的な問題もうつ病についてはあるのかもしれないけれど、こういう精神の病に倒れるきっかけというのは、上に記した「正しさ」と世間とのすり合わせがうまくいかなくなったときなのではないかと思う。

格闘を重ねた結果うつになっちゃったんだな。それは「いい人」だからだと思う(器質的な問題は別)。

そしてうつ病の闘病記となるが、なかなかこれが破天荒で^^; 病気だったらそんなことしないほうがいいんじゃないの? と思うようなことをずいぶんとしている。クラブに遊びに行ったり、大酒をくらったり、、、。

ただ読んでいると、そういうことをするのはそんなに悪くないと思っているようなのだ。罪悪感や嫌悪感を持つことを書いているけれど、文章からはそんなに悪いと思っていることが伝わってこない。当事者は苦しんでいるんだろうけど、そんな風には見えない。

どうやらこういう病気の面倒くさいのは、そういう点にあるらしいと分かった。

それである日、憑き物が落ちたようにうつ病が治るのだけれど、治った時点でお酒は飲まなくなり、タバコも吸わなくなっている。

ある種の格闘の後うつ病になり、うつ病であった間は、脳のハードディスクがひたすら働きまくってデフラグしたんじゃないの、って感じだ。

デフラグをしている間は、あっちゃこっちゃと破天荒と思われるようなことをしているけれど、デフラグが完了したらうつ病が治っちゃった。お酒も飲まなくなっちゃった。タバコも吸わなくなっちゃった、っていう感じ。それが山本文緒さんのうつ病だったのではないかと思った。

いい人っていうのは、自分の正しさと戦っちゃうんだねえ。そして病に倒れると…。
蛭子さんがそんな病に倒れるとは思えない。だって戦う必要がないから…^^;


最後に心を平静に戻してくれる本。

自宅で大往生 (中公新書ラクレ)

自宅で大往生 (中公新書ラクレ)

  • 作者: 中村 伸一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: 新書


『「ええ人生やった」と言うために」…ですよ。

試練の連続だろうが何だろうが、「ええ人生やった」と言いたいもんです。

自分の病気に相対するとき。余命幾ばくもないと分かったとき。しっかりと受け止めたいと思った次第。

そういうステージをちゃんと用意しようとしているのが、中村伸一先生です。

中村先生、頑張れ~! と思った本。







おしまい。

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nakasama

あはは・・・本を読まなくてもtoroさんの解説でうちのだんママちゃんはまさに「正しさの人」であるなぁ〜と思いました。
その「正しさ」というのは生まれ持ってる人にしかないものですわねぇ〜^^;
でも「正しさの人」なので憎めないし世話してあげないと、生きられないし〜、格闘してしまって病気になりましたが?
腹黒なので心にこないで身体にでたのかも(笑)
現在格闘しないで共存の道をなんとか歩んでいる最中なのだ。
by nakasama (2010-11-11 11:45) 

toro

*nakasamaさま*
心中お察しします^^; こういう人を変えることはできないですものね~。
前にも書いたと思いますが、うちの義兄嫁が「正しさの人」で……。
「toroさんは非常識だ」と言われたときは倒れそうになりました(笑)
この人と付き合っていたら私がやられると思い、付き合いを断ちましたが。
同じ土俵に立ってしまったらおしまいと思いましたわ~。
被害を受けない程度の位置で、面白がられたら一番いいんでしょうけどね。
by toro (2010-11-12 09:19) 

こぎん

山本さんは知り合いのお嬢さんで・・・あらま、そんなことになっていたのね?
でした。
生きてりゃ~いろいろあるわな~。
by こぎん (2010-11-25 08:44) 

toro

*こぎんさま*
山本文緒さんはお知り合いのお嬢さんでしたか。
なかなか大変な日々を送られていたようですよ。
そうですよね~、生きているといろいろなことが起こりますよね~。
まあ、ちゃんと対応しなくてはと思いますが、結構いい加減に思って
付き合ったほうがいいこともあるな~とこのところ思っています^^;
by toro (2010-11-26 09:44) 

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