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展覧会と出張と。 [芸術・文化]

引き続き、誕生月間です。

昨年は、高松次郎さんや赤瀬川原平さんの展覧会、荒木経惟さんの写真展、忌野清志郎さん、ナンシー関さんの展覧会に行ってきましたが、今年は文学!

いやいや、そういえば、赤瀬川原平さん、常盤新平さんの町田文学館での展覧会にも行っていたか……。今年は展覧会に行く数が少ないです^^;

ということで、神奈川近代文学館で開催されている柳田國男展に行ってきました。

夫T君が招待券をもらってきてくれていたので、これ幸いと。

場所は、横浜の「港の見える丘公園」内です。
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朝ドラの「まれ」の舞台にもなりましたね。

これが横浜の港らしい風景。
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いい感じの日がさしていました。
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そして柳田國男さん。
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「遠野物語」の序文にある「平地人を戦慄せしめよ」という言葉から、展覧会では「日本人を戦慄せしめよ」という題名をつけたと主催者の言葉がありました。

確かに、「戦慄」というにふさわしいほど、遠野物語から最晩年に書かれた「海上の道」まで盛りだくさんの展示内容。これほどのものが遺されていたのかと圧倒されました。

柳田國男さんというと、真っ先に思い浮かぶのが「遠野物語」だと思います。実は、私もそのくらいしか知らないでこの展覧会に臨んでいたのでした。

ところが行ってみれば、いろんなことをなさっていた人で、農政官僚として働いていた時期があったり、歌人や詩人として学生時代は活躍していたりと、初めてそのことを知りました。

そして柳田姓も柳田家の養嗣子となったことからとか。もとは松岡國男さんといい、松岡家は貧しくも教育熱心な母親のお蔭で、五兄弟すべてが功績を残す人物となっているということでした。

遠野物語を書いたり、民俗学に傾倒していくきっかけとなったのは、13歳のころに見た一つの「絵馬」なのだそう。その絵馬も展示されていたのですが、「間引き絵馬」という飢饉のために間引き(嬰児殺し)が行われている絵が描からている絵馬で、これは大きなショックを受ける内容でした。

この絵馬を見て「なぜ?」と思ったのでしょうね。この年頃で見たということも大きいと思いますが、この時代背景を想像するだけでも、何かを駆り立てられるものがあったのでしょう。

その後、遠野物語など民俗学の没頭されたようですが、戦後は子どもたちの「教育」について、自らの成すべき課題に挙げられたということです。

解説文によると「普通教育の目的は、それまでのような国家教育では決してなく、「子供を人にするに在る」と述べ、これからの民主主義の世の中を正しい判断力を身につけて生きる能力を養うことが重要と考えていた」とあります。

「国語科、社会科教科書の監修に熱心に力を注いだが、いずれの教科においても、最終的には正しい選挙民を育てること、すなわち、人を選ぶことのできる能力を、等しく身につけられるようにすることを目標とした」のだそうです。

すばらしい。

「正しい選挙民を育てること」というくだりを読んだとき、これこそ民主主義に必要なことと、膝をポンとたたきました。

貧しい家に育ち、歌人や詩人となって多くの言葉を操り、そして農政を知り、民俗学を研究したことで、そこから得た必要なことを、次代に伝えるという仕事を自分の課題に挙げたという……。ものすごく真っ当な人物であったとわかりました。

すばらしい。

ちなみに、神奈川近代文学館でなぜこの展覧会が開催されたのかというと、「日本最初の村落調査に津久井の内郷村を選んだこと」「別荘が茅ヶ崎にあったこと」「永眠の地を川崎生田丘陵に選んだこと」などゆかりが深かったのだそう。

また、神奈川県内のあちこちに視察に訪れていて、1940年、41年には、上飯田、瀬谷、大和、深見を訪れていたのだそうです。近くだわ。

予備知識の少ない人間が行ったからこそよかったのかもしれません。遠野物語だけではない柳田國男さんを知った、有意義な展覧会でした。


それからもう一つ。

「大和市つる舞の里歴史資料館」へ行ってきました。
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T君の実家近くにあるのですが、前は通っても中に入ってみることは今までしていなかったので、今回が初めて。企画展「地形・地層・地震~大和周辺の大地の成り立ち~」に興味をもって行ってみたのでした。
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あら、いやだ、と思うほど、面白い企画展でした。近くでこんなことをやっていたとは……と思うような内容。

この辺りは遺跡が発見されたり、私が通った中学校近辺では発掘作業が行われていたりしたこともあったので、どんなものなのだろうかと興味があったのですが、こういう形で展示されたものを見ることができて楽しかったです。面白く見てきました。

展示の数はそう多くはないのですが、こういう企画展が開催されていることを知る機会も少ないので、もっと宣伝したらいいのにと思ってしまいました。

またもちなみにですが、神奈川県博物館協会加盟館園によると、95もの博物館や資料館などが神奈川県下にあるのですね。行ったことがないところがいっぱいあるなあ。


さて、横浜、港の見える丘公園を後にして、坂をぐんぐん下がって適当に歩いていたら、こんなところを発見。

本牧ガレージ。
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すいません_(._.)_ クレイジーケンバンドのファンではないとわからないネタでした^^;

さらに、山手隧道わきでこんな光景が。
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鳩が石垣にこびりつくように休んでいました。なんか妙。


おまけ。

また今年も恒例の大阪・神戸出張に行ってきましたが、写真もほとんど撮っておらず、とりあえず少しだけ買ったものを。

大阪の「とん蝶」。
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大阪で働いているときは知らなかったのですが、知る人ぞ知る大阪のソウルフードらしいです。夕方、飛行機に乗り込む前に、夕食代わりにいただきました。要するにおこわですね、はい。

それから、こちらは神戸っ子のソウルフード(?)、トミーズの「あん食」。
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食パンにあんこが練り込んであります。これがまた、郷愁をそそるようなお味。

あと、懐かしい三田屋のハムとドレッシング。
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T君の大阪在住だったお祖母さんがよく食べさせてくれたハムでした。



おしまい。(誕生月間はつづく……かな?)
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名残のバラ。
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nakasama

そんなところで柳田國男展を?
何だかご近所に縁があるというだけで偉人も親近感の湧く人物になりますね。
今、家人の事務所が元町なのですが、かえって以前よりも上まで行かなくなってしまいました。だめですねぇ。。。
とん蝶の存在は知らなかったです。
塩昆布や小梅が入ってるという事は、ちまきとも違うんですね?
おこわのおにぎり?美味しそうです。
by nakasama (2015-11-26 21:44) 

タックン

こんばんは。
私も柳田國男といえば「遠野物語」(と言っても全部読んだわけではないのですが)でしたが、
改めてどんな人物だったのか興味が湧きました。
上飯田を訪ねたことがあるとは! どこかに痕跡が残っているのでしょうか。
神奈川近代文学館は2度ほど訪ねています。
小川国男さんと大岡昇平さんの講演会で、お二人とももうお亡くなりになってしまいましたが。
若い頃はそんな意欲があったのにと、toroさんの記事を読みながら少し刺激されています^^

美味しいものもいっぱい!充実の誕生月ですね〜

by タックン (2015-11-27 21:55) 

タックン

すみません 訂正です^^;
小川国男 → 小川国夫 でした。
by タックン (2015-11-28 19:47) 

toro

*nakasamaさま*
そうなんですよね。こんなところで? と思いました。
というか、神奈川近代文学館という存在も知らず、県民としてはダメダメではないかと(笑)
遠野物語の岩手続きで、元町のできた岩手県のアンテナショップがあるのですが、
http://natural-essay.jp/
友人がかかわっているお店なので、機会があったらぜひ。
美味しい野菜が手に入ります^^
とん蝶は、私も割と最近まで知らなくて、以前伊丹空港で売っていると聞いて探したのですが、
売り切れで、今回ようやく阪神百貨店で買いました。
なんというか、おこわだけどお握りみたいな感じでしたよ。

*タックンさま*
おはようございます。
柳田國男展は地味に行われている印象でした。
あんまり文学を好まない人は行かないんだろうなあ、と思いましたが、面白い展覧会でした。
2度も足を運んでいらっしゃるんですか。さすが。
ホントに、今回初めて神奈川近代文学館の存在を知りまして、恥ずかしい限りで……。
家でネットを見ているだけ、本を読んでいるだけでは知りえないことが、さまざまな展覧会に
足を運ぶと知ることができますよね。ここ数年、機会があればどんどん行きたいと思っています。
(出不精を改善したいという思いもあり……^^;)。
次はまだ行ったことのない、清澄白河にある東京都現代美術館に行ってみようかと企んでいます。

誕生月間……まだ頑張っています~。あと1日(笑)

*大和さま*
ありがとうございます。
by toro (2015-11-29 10:19) 

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