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最近読んだ本 [本の感想]

最近ようやく(少しずつだけど)本が読めるようになってきた。

震災以来、衝撃があんまり大きかったために、フィクションもノンフィクションも読んでも頭に入ってこず、ただ文字を眺めているという本読みが続いてしまった。

こりゃー頭も凝り固まってしまって、視野も狭くなるってえもんです。とはいえ、自分の好みのものしか読まないですから、視野もへったくれもないんですけどね(笑)


311を撮る

311を撮る

  • 作者: 森 達也
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/03/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


とはいえ、「311」関連の本を読むと。

これはドキュメンタリー映画『311』を撮影した4人の監督が撮影現場(被災地)で何があったか、どう思ったかなどを語った本。

未曾有の災害を前にして、とにかく行かねばならぬという使命感から始まっている。ところが、被災地に入ってからの4人の監督は、それぞれのたち位置から模索せざるを得ないという状況となり、文章からもそれを感じることができる。

その気持ちの揺らぎからして、とてつもなく大きな災害であり、いろんな経験を積んだ人であっても、呆然と立ち尽くしてしまうほどのものだったのかと想像ができた。

ただ撮るだけでは終われない。

映画とするからには表現者であり、ドキュメンタリーであるから取材者でもある。ノンフィクションではあるけれど、脚色もされてしまうのだ。

また撮り方ひとつで意味は変化するし、編集することによって、作る側の意図も作為的に盛り込まれてしまう。

そのことも4人の監督に悩みとなり、苦しみとなったようだ。

加えて、撮られる側は被災者であり、被災地である。

何もしないでただカメラを構え、ぶしつけに話を聞こうとする人に、何を言えようか。

撮る側も、撮られる側の人の気持ちを察し、さらに苦しむのだが、撮らねばならないという使命感が想像をも拒絶しなくては…という雰囲気となる。

果たして、そんな状況からできた映画とは…。



私はこの映画は観ていない。おそらく観ないと思う。読むだけで十分想像できたから。

観て感傷的になれるかもしれないし、この4人の監督の無作法にムカついたかもしれないし、よくできた映画とも思えるかもしれない。

こういう映画は観る側が勝手にいろいろと感想を持てばいいことで、批評をする類のものではないと思っている。

そういう性質のものだろうと思う。

じゃあ、こういう映画は撮られなくてもよかったのではないか? 撮ってよかったのか? という話も出てくるかもしれない。

その点についていえば、撮っておいてよかったと後々思うのではないかと、そう感じる。

誰かが撮らないと、撮っておかないと。人間は忘れっぽいから、こういう映画がないと思い出せないだろうし。

それだけでも十分に役立つのではないかと思った。



母がしんどい

母がしんどい

  • 作者: 田房 永子
  • 出版社/メーカー: 新人物往来社
  • 発売日: 2012/03/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


これはコミック・エッセイ。

自分の「毒親」である母親との関係…母親のひどい独断的な性格によって生活を乱され、作者が心まで病んでしまう様子が描かれ、そしてそこから抜け出すまでの話。

何というか…親と子というのは仲良くなきゃいけない。母親というものは母性を持っているもの。愛情があるからして子どもを育てているもの…というのは幻想である、ということかな。

親が子に対して支配的になるというのは、どこの家庭でも起こりうることだと思う。

ただ、そこから親の性格や、親が受けてきた教育・躾によってずいぶん変わるわけであって、最近では経済状況も関係するだろうね~。

ある時点でバキッと親離れ・子離れができれば、言うことなしなんだ。

でもこの作者の母親のように、おそらく人格障害か発達障害を抱えた人は、手の施しようがないと思うし、きっぱりと縁を切らないと、どちらのためにもならない。

親が子を生んで育てるということは、その人の学びでもあると思うけれど、子はそこから抜け出す(羽ばたく)ということも学びであって、いつまでも親の言うとおりにしなくてはいけないなんていうことはないし、親もいつまでも子を言いなりにできるなんて思ってはいけない。

「親を捨てる」という嫌な印象の物言いになるが、「捨ててもいい」くらいの気持ちはあってもいいんじゃないの?と思う。

実際にはいろんな状況があるだろう、何ともいいがたい部分はある。

とりあえず呪縛から逃れることは大切かな。





([い]2-3)運命が見える女たち (ポプラ文庫 日本文学)

([い]2-3)運命が見える女たち (ポプラ文庫 日本文学)

  • 作者: 井形 慶子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/06/05
  • メディア: 文庫


これはなかなか面白かった(笑)

5年間の潜入取材というのだから、淡々と霊能者である女性たちから話を聞いたりしているだけのものかと思ったら、井形氏の私生活にどんどんと入り込んでくる霊能者の「ご神託」によって、彼女がどんどん振り回されていく様子が書かれている。

「事実は小説より奇なり」という言葉がしっくりくる本だった。

ご神託というのは語弊があるかな。でも、見える人からこの先を聞かざるを得ない、聞きたくて仕方がない、聞いて相談したい、という気持ちがどんどんと膨らんでいく様は、どんな人にも陥る状況かもしれないと思った。

こうも未来を聞かされてしまうと、悪い方向へは行きたくないと誰もが思うよな…と。


自分の経験からいえば、霊能者に話を聞くのは悪くはないと思う。だけど本当に霊的な何かがあるときだけにすべき。

といっても、そんなことはわからないよね(笑)

私は一度だけ頼ったことがある。それも自分でどうこうしたわけではなく、「見てもらったいいと思うよ」と紹介され、しかも紹介された人は本当に普通のそこら辺にいるような女性で、霊能者という看板を掲げて商売している人ではなかった。

とにかくわけのわからないことばかりが回りで起きて、私自身が精神的に追い詰められたときに、唯一の救いとなったのだった。

彼女の話を聞き、それからちょちょちょいと眉間の辺りを何かして、そうして聞いたことを実行してみたら、まあ、身が軽くなったこと(笑)

ただ、それは霊的なことというより、ご先祖さまが心配して状況を変えようとしたというのが真相に近く、霊的といえば霊的だけど、本来ならば自らが気づくべきことなのかもしれない、と思った。

それでもどうしようもないときはあるわけで、私にとっては救いとなった。ありがたい。


ま、そういうこともあるので一概に批判はできないし、かといって依存するまでになってはよくないと、まあ、そう思います。




ということでおしまい。
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nakasama

またまた痛いところを選んで読まれていますねぇ〜
いろんな視点から見てみないとわからないことがたくさんあって毎日の情報処理をするだけでめいっぱいな状況です。
「母がしんどい」はちょっと興味がありますが、兄の家庭をかいま見るようでちょっと痛そう。(笑)
疲れちゃうので最近は旦那が読んでるマンガチックな小説ばっかりを読んでます。^^;
昔はタブーとされていたような内容かもしれない部分も同じ悩みを抱えた人にとっては共感や救われるところがたくさんあるんだろうなぁと。
by nakasama (2012-06-14 09:49) 

toro

*nakasamaさま*
コメントの返信が遅れました。すみません。
本は…相変わらず痛いところを読んでいます(笑)
そうそう、昔はタブーだったかもしれないことですが、
結局悩みはいつの時代も変わらないのではないかと……。
形や悩みのネーミング(?)は変わっているかもしれないですけどね。
とにかくなんかこう、いい世の中にならないものですかねえ~。

*あんぱんち~さま*
*めりっささま*
ありがとうございます。
by toro (2012-06-18 09:15) 

東雲

初めてお邪魔いたします。
先日は 私のブログにお立ち寄り下さいまして、
ありがとうございました。
toroさんのことは こぎんさんやmamireさんのところで
いつもお見かけして、たま~にですが こっそりと
拝見させて頂いていました_(._.)_
これからは きちんとお邪魔させて頂きたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。^^

 
「母がしんどい」は 私も少し興味があります。
娘がふたりいるのですが、幾つになっても娘は娘、と思う中で、未だに衝突することも・・・^^;

>親が子を生んで育てるということは、その人の学びでもあると思うけれど、子はそこから抜け出す(羽ばたく)ということも学びであって、いつまでも親の言うとおりにしなくてはいけないなんていうことはないし、親もいつまでも子を言いなりにできるなんて思ってはいけない。

ごもっとも!!!

私はバキッと子離れ、出来ているかな?と
改めて考えてしまいました。
by 東雲 (2012-06-19 13:10) 

toro

*東雲さま*
こちらこそ、ありがとうございます。
こぎんさんやmamireさん経由ですね^^
私もお見かけしては、ときどき拝見していました。
今後ともよろしくお願いいたします。

うちには子どもがいないので、子離れというのは経験できませんでしたが、
自分の母や夫の母を見て、親のあり方というのをずいぶんと観察してきた
ような感じです^^;
うちの母はかなり独善的でしたが、私の性格を見抜いてか、放っておいて
くれたのでその点は助かりましたね~。
夫の母は、子離れ下手で、ちょっと勘違いも入っていて面倒くさい人です。
いまもなお面倒くさい…(笑)
でも、結婚して他人の親を知って、いろんな人がいるもんなんだな、と勉強になりました。
面白いですね。
by toro (2012-06-20 09:40) 

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