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天童さん、完読? [本の感想]

もうすっかり日食の話題は遠くに行ってしまったようで…。今ごろ何を、、、ですね(笑)

うちのあたりは切れ間もない曇天で、全く太陽を拝めませんでした。なんとなく薄暗くなったような…くらいで。しかし基本的にはあんまり興味がなかったもんでね(えへへ)。

人が騒げば騒ぐほど、しゅしゅしゅ~と萎えていくタイプなのでありますよ。
どっちしても天気予報を見れば見られないというのはわかっていたし。

てなわけで、トカラ列島は悪石島や、中国は上海に行かれた方はお疲れ様でした。天気がすこぶる悪かったみたいですね。

次回はイースター島ですよ。 …どうやって行くんだ?

とはいえ、とりあえず、TVで皆既日食の様子が見られるというので、NHKをつけたでございます。

そうしたら、さすがはNHK。ハイビジョンカメラで美しい。そして、設営した場所も「硫黄島」で天気はよろしいし、皆既日食の時間は長いしで、いうことなしの中継でした。

そして私が引きこまれたのはこれ。
090722_1126~01.jpg
コロナ、スゲー!!!
完全に太陽が隠れてしまうというそれよりも、太陽のコロナがスゲーと一人で感心しておりました。

皆既日食での観測は、太陽の活動を調べるのに最適なんだそうで、NHKさんは頑張っておられました。そうそう、こういうのに頑張らなくては、受信料を返せと言いたくなりますわよね。


あはは、前置きばかりが長くて失礼。

本の感想です。

いつの間にやら天童荒太氏の小説を完読いたしました、たぶん。
まずはこれ。

あふれた愛 (集英社文庫)

あふれた愛 (集英社文庫)

  • 作者: 天童 荒太
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/05/20
  • メディア: 文庫


これは短編集なのだが、さまざまな人との関わりを大事に表現していて、悲しいけれど、何となく心が温かくなるお話だった。

こうね、精神的に追い詰められていってしまうんですよね、あるとき、あることをきっかけとして。そんなことくらいで精神の病に冒されていくのか? と思う人もいるでしょうが、簡単に追い詰められてしまうそんな人間の脆さが描かれている。だけど、それだけではなくて、手を差し伸べてくれる何かがあるということを気づかせてくれるような、そんな話だと思った。

4編からなる短編集。1編、1編かみしめながら読んだ感じ。



孤独の歌声 (新潮文庫)

孤独の歌声 (新潮文庫)

  • 作者: 天童 荒太
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: 文庫

これは「天童荒太」名義のデビュー作にあたるようですが、もうここから大物っぷりがはっきりとわかるストーリー展開で、あっという間に読み終えた。

「家族狩り」と同じようなテーマに思う。登場人物も場面も違うし、文章がややあらけずりな感じがあるのだが、すでに天童節が出来上がっている。

おそらく天童氏の言いたいことは、「人は誰もが孤独であるということ。それを自覚すべきで、その上で人との交わりを持つべし」といったところだと思う。「そうすれば人は優しくなれるし、人を思いやることができる」と、そんなことを言っているような気がした。

話は「人間は孤独ではない」と信じている誘拐犯がいて、孤独ではないことを証明するために誘拐を続けていうような感じなのだけど、それがかなり猟奇的に描かれている。そしてその誘拐犯を捕まえるために、女性の刑事が立ち向かうのだが、その女性も幼き頃のつらい思い出を心に抱いていて、感情的にもなるのだけれど、傷つきながらも誘拐犯を捕まえるまでにそれを克服していく様を読むことができる。

それから、「併せて人は鋭い感覚を持ち合わせているものだ」ということも描かれている。それは些細なことなのだけど、「あ、そうそう」と共感できる、うまい書き方をしている。

ミステリーという分野になるようだが、やっぱり考えさせられる話だと思った。





もう一つ、「家族狩り」のオリジナル版も買ってナナメ読みした。

文庫版と違うところはと思って読んだけれど、そう変わりはないように思う。基本は同じ。

天童氏は作品を文庫化するにあたっては、大幅に加筆するようだけれど、基本は同じなので受ける印象も同じ。つまりは作家の自己満足のために行われていることかもしれないと思う。あるいはサービス精神。いい人なんだろうなあ。




さて、次は何を読もうかなあ。


おしまい。
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ケイクス

凄いなぁ。天童さん完読!?
こういうのって、勢いとか気分も大事なのかな。
私は作者で完読に挑戦しようと思って挫折したのは
司馬遼太郎さんかな。あと、今年なぜかトレンドっぽく
なってる太宰治ぐらい。でもどっちも完読ならず(><;;
ちゃんと古典を完読したいもんです、はい。
by ケイクス (2009-07-24 18:22) 

mamire

こんばんは。
toroさんの感想を読んでいるだけでぞくぞくしてきました。
まだ、天童氏の作品は読んだことがないのですが、明日は、きっと本屋にいますわ。
私も、藤沢周平氏の作品は、文庫本ですが、新潮、文春、講談社と、読み続けてしまいました。
作風が自分の感性にはまると、止まらなくなってしまいます。


by mamire (2009-07-24 21:52) 

めりっさ

完読ですか! すごいです。
天童氏、テーマが重いですからねー。もし私だったら、完読するまでにちょっと鬱状態に入ってしまいそうです^^;
そういえば昔流行った頃、横溝正史は完読したかも…。
by めりっさ (2009-07-25 00:32) 

toro

*ケイクスさま*
一応完読と言っていいのかなあ~。天童名義以外で作品があるようなの
ですが、それはもういいかと思って^^;
やっぱり勢いでガーッと読むといいんでしょうね。
こう、、、作家の傾向がわかるし、面白さも続くので、そういう小説に出合え
ればラッキーという感じですね。
司馬遼太郎、太宰治…うむむ。これはガッツリ取り組まないと読み切れ
そうにもない作家さんですわ~。ひゃ~。

*mamireさま*
藤沢周平氏の作品は一つも読んだことがないんですよ~。
私も本屋さんに行ってこようっと^^
天童氏の作品は猟奇的な部分は怖いんですけど、ストーリー展開がうまく
って最後まで読ませてくれます。考えさせられるテーマでもあるし…。
はじめは流行小説家か。。。と敬遠していたんですけど、はまりました^^;

*めりっささま*
横溝正史氏を完読とは! それはすごい。作品の量がまず違いますよ~。
同じ作家の作品を追うというのが面白いですよね。
いや~すごいなあ。
天童氏の作品を読み進めていくと、だんだん客観的に読めるようになって
くるので、精神衛生上はそんなに問題なかったですー^^;
by toro (2009-07-27 07:49) 

nakasama

太陽がどこにあるのかさえわかりませんでしたね〜。
硫黄島のは後からYouTubeで見ましたよ、コロナの小さく赤い“ぽっ”てとこが地球何個分かって言ってましたね?
いや〜お天道様ってすごい存在です。

すごいといえば完読もすごい!
私なんて唯一長年読み続けてるのが、宮部みゆきさんくらいですが・・・新刊本はあまり読んでないです〜。
by nakasama (2009-07-27 10:51) 

toro

*nakasamaさま*
太陽は全然わかりませんでしたよね~。今さらな話題で恐縮です^^;
硫黄島のあれを見ましたかっ。すごいですよね。
えーと、プロミナンスって言ったかな。太陽ってば偉大。
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2005/shimizu/index.shtml
↑これを見てさらにスゲーと思っちゃいましたよ~。

完読というか…多作な作家さんではないんで、あっという間でした^^;
宮部みゆきさんも読んでみようかなあ。
現在、『水滸伝』が候補にあがっているのですが、長い旅になりそうで
二の足を踏んでいるというか…。悩みどころです(笑)
by toro (2009-07-28 08:58) 

こぎん

何を悩んでいますか? マダム(^w^)
私なんか、北方『水滸伝』全19巻・・・2回目、6巻目です(>_<) 
1回目、何をどこを読んでいたんだ! って感じで、
すっかり忘れていたり、読み飛ばしているとこがいっぱいです。
そして、味わい深い。ほとんどが北方創作・ワールドなんですが、
いや~、登場人物が語る言葉がかちょいい~。
現代モン北方は一切知らないけど、梁山泊にどっぷりです。
by こぎん (2009-07-28 23:28) 

toro

*こぎんさま*
悩みますよ~^^; 全19巻…。
これを読みながら、ときどき他の本に浮気をして、って感じになるでしょうか。
あ~。
生きている間に読める本の数は限られているな~、と思う今日この頃ですよ~。
手を出そうか出すまいか…(笑)
by toro (2009-07-29 09:17) 

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