SSブログ

誰の責任でもない。 [本の感想]

よく似た本、2冊。

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き

  • 作者: 信田 さよ子
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本



母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス 1111)

母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス 1111)

  • 作者: 斎藤 環
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本


もうすでに実母が他界してしまったがために、こういう本を読んでも、「だからどう?」 くらいの思いになってはいるのだが、しかしながら興味深いのでついつい読んでしまう。

信田氏の著作はどちらかというと経験に基づく、あるいは、カウンセラーという立場であり、かつ女性であるから共感する部分があるのだろう。そういう点がPointになっていて、とてもわかりやすく読みやすい。

一方、斎藤氏の著作は男性だからか……。非常に観念的である。頭で考えた内容。なるほど、とは思うものの、面白さはあまりない。

やはり現実に起きていることを例として出してきている信田氏のほうが面白いな。

娘にとって母親とは重石であり、支配するものであり、縛り付けるものである、ということを論じているんだが、母親はそれを無自覚に行っているということ。それがさらに娘を追いつめる原因にもなるし、罪悪感を植えつけていることにもなっている…とどちらも言っている。

以前からこの手の本は何冊か読んでいるが、結局、このことによって母親を責める人も出てくるんだろうなと思う。しかしながら、常に思うが、やはり誰の責任でもないと思うんだ。

人間関係のすべてにわたって通じるものだろうと思うから。ただ、特に母娘が突出して陥りやすい問題であり、母娘であるから放っておかれた問題なんだろう。だから、こういう本が書かれるのだろうし、放っておかれてしまった人々を助けるには必要な本なんだと思う。

家族っていうのは、信頼できる単位だから放っておかれてしまうのだろうけれど…最近特に多いように感じる家族殺しなんていうのは、そういうことが根源にあるから起こるんだろうと思っている。

家族というのは信頼できるもの。家族だから大丈夫。だから放っておいても何とかなるもの。

そんなことはない。

ひとつのコミュニティとしての最小単位が家族であると思うが、この最小単位のコミュニティがいくつか集まると町になり、町がいくつか集まると都道府県になり、都道府県がいくつか集まると国になり、国がいくつか集まると地球になる。

こういう風に考えていくと、家族を放っておくというのは、地球を放っておくというものなんだろうなと。極端な話ではあるが。

この極端な話を持ち出せば、「家族だから」と考えるように仕向けているのは世の中なんだと思うわけで、母娘の問題にしたって、こう考えれば母親の責任ではなく、世の中の責任なんじゃないの? と考えられるわけだ。

母娘というのは「娘だから」、「母親だから」ということに一番陥りやすい関係であり、母親が娘をまるで自分のように思ってしまいがちに存在なのであると思う。

「娘だから」とか、「母親だから」と思ってしまうからよくないんだよね。

~だから、と思うことで期待もしてしまうし、依存もしてしまう。

要するに、そんな風に思わなきゃいいんだよ。

期待しない、依存しない。

そうするとね、苦しさは軽減すると思うんだけどね。


何日か前にあるタレントさんが「温かい家庭を作りたいから結婚をした」という発言をした。何でも幼少時代、両親が離婚し、温かい家庭を知らないから、なんだそうだ。

これを聞いて私はぶったまげた。

結婚すれば温かい家庭を築けるものだと、この人は信じているのかと。。。何て重い人なんだろうと。

「温かい家庭を作らなくてはいけないという重荷を背負った夫婦像」というものを想像してしまった。それより温かい家庭って何?

厳しいな。

こんなことを考える夫と結婚をしていたら、息苦しくて死んでいただろうな…私。

ただ、一緒に生活をしたら楽チンなんじゃない? それぞれ共有することで楽チンになるんじゃない? って考えのほうが強かったよ、私は。

いや~、だからね。こういうタレントさんのような人が「家族だから」と、連発するんだろうなと思ってさ。それでこのことを書いたんだけど。


しかし、家族っていうのは唯一利害関係のない関係であるものだから、それをどう考えていいものなのか、という迷いはあるんだろう。

国や都道府県という行政であれば、税金を納税している納税者であるわけだから、しっかりとした利害関係がある。であるから、行政に対しては期待もするし、厳しくも言える。だってお金を払っているんだからさ。

でもね。家族はねえ。

ましてや母娘となれば、同性であり、母親などは「私がお腹を痛めて産んだ子」となるのだから、利害どころじゃない。

お陰でキッパリと切れない仲になってしまう。であるから、問題が起きる。内々に。しかし家族だから、親子だからといって放っておかれてしまうんだ。

あー大変。

でも巡り巡って、この家族というものを救わなくては国も救われないんだろうし、地球も救われないんだよな。

あー困ったことだ。


そう思うと、前述の本2冊は大切なことを書いている本であるということがいえるのだ。うわ~大雑把で乱暴な帰結(笑)








そうそう全然関係ないけど、さっきTVを見ていてアホな主婦の発言に大突っ込みをしてしまった。

「サミットに期待することは?」という質問に、

「今の物価高をどうにかして欲しい。生活が大変」なんていう発言をした主婦がいた。場所は、銀座。

「物価高で生活が大変なら、銀座で遊んでんじゃねーよ」と突っ込む私^^;

全然大変でもなんでもないくせに、平気でこんな発言をする厚顔無恥な主婦にぶっ倒れそうになる。

それより、農作物の価格をもっと上げてもいいと私は思っているのだ。農家の人々は赤字経営をしながらも作ってくれている農作物だ。はっきり言って安すぎる。それも中間搾取されているのかと思うと、心が痛む。

食料自給率の低さは、こうした農家の人々を苦しめてきたから起こっているということも考えなくちゃいけないと思うのに。

単純に物価高を恨むって……しかも、銀座…_| ̄|○ il||li


北海道で暮らす従姉は酪農を辞めた。お金にならないからだそうだ。そして食用にする牛を飼うことにしたのだそうだ。

バター不足に文句をいう人もいるのだろうけど、お金にならなければ、生活ができなければ、辞めるのは当然のことと思う。





サミットなんてやったって、何にも変わらないだろうな。


期待は全くしていない。それより税金返せ(笑)





おしまい。


※追記:書くのを忘れていたので追記だが、「母が重くてたまらない」の装丁はうまい! 最近の装丁は、なんじゃこりゃなものが多かったけど、この装丁は久しぶりにいいと思った。
nice!(3)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 3

コメント 3

ぷうやま

あら、タイムリー!
昨日書店でみて面白そうだなって手に取ったばかりです。
(NHKブックスのほう)
でも、「母が重くてたまらない」のほうが面白そうですね。
NHKブックスのシリーズはタイトルのつけ方が上手いのか
読みたくなる本が多いです。
by ぷうやま (2008-07-08 08:30) 

こぎん

内容がタイトルからは分からないけれど・・・
たぶん、今読んだら、やばそうだな~という勘がピキ~ンとします。
返って渦中だと、この手の本は倦厭しちゃう。

母にはやせて、軽くなってほしい~な~とボケてみる。

サミット開催で・・・東京タワーや日本各地のライトアップがダウンされたけど・・・
なんか、あ~ゆ~パフォーマンスに嫌悪ですわ。
だったら、いつもやってれば? 
もっと、根本なのに・・・
牛乳・・・辞めてしまったんですか? 牛乳も輸入になるのかな?
それも・・・もしかして・・・近いあの国??(((( ;゜Д゜)))
by こぎん (2008-07-08 09:16) 

toro

*ぷうやまさま*
「母が重くてたまらない」のほうがやはり現実味があるんで、面白いですが
身につまされますよ~^^;
「そうそう」と思い当たるところもあったりして……。
うん、NHKブックスのタイトルはうまいですね。うまいところ突いています^^
うっかり手にとって買ってしまいましたから(うひひ)。

*こぎんさま*
あ~、今は読まないほうがいいかもしれません。うんうん。

そして昨日のキャンドルナイトですねえ。私もそう思っていました~。
はっきり言ってバッカみたいと。クリスマスに盛り上がるのと変わらない
メンタリティですよ。
それより暗くなって防犯はどうなんじゃい!と。明るくすることで防犯になる
って言っていたのはどこのどいつじゃい!と。
牛乳…辞めちゃったんですよ。大変なんですって;; 
だけど自給率がどんどん下がるっちゃ~。近いあの国の牛乳は嫌っちゃ~。
by toro (2008-07-08 10:16) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

フォトジェニックへの道オナガの巣 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。