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買ってあった「となり町戦争」をようやく読んだ [本の感想]

となり町戦争

となり町戦争

  • 作者: 三崎 亜記
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 単行本

戦争の小説である。

リアルだけどリアルでない、どこで起こっているかわからない戦争の話である。

ミステリーか? サスペンスか? なんて思ったけど、そういう話ではなかった。

町や市で立案される政策で戦争をするとなるとこうなるのか、という想像力がかきたてられた。行政マンなどが読むと「ふふふ」と思うのではないだろうか。

血を見ることのない戦争というのはこういうものか、と思いつつも、それより人間って人知れずに死んでしまうんだよ、ということが何とも不気味に思える。

ただ、最後まで読むと「だから何なんだ」と思ってしまった。

いや、いろいろな人が面白い、というのはわかる。となり町同士の戦争という想定で、武器があからさまに使われておらず、行政により粛々と遂行されていく戦争という設定は面白い。戦争についてのちゃんと説明会もあったりして、行政が行う仕事のバカバカしさがよく表れているとは思うのだが…。

まぼろしの市街戦

まぼろしの市街戦

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2003/11/22
  • メディア: DVD

この映画のようなメッセージが含まれているのか?と思ってみたりもするが…(違うか)。

実は何が言いたかったのかということがよくわからない小説であった。

 

話は変わるが、読んでいる途中でのこと。

我が家は米海軍の戦闘機が飛ぶ航空路にかかっている。何駅か先に厚木基地があるわけだから仕方がないのであるが、そういう土地柄であるから、横須賀基地に空母が帰港すると戦闘機が飛んでくるようになる。

配備されている戦闘機がスーパーホーネットに変わってから、騒音がバカみたいに大きくなった。かなり上空に飛んでいてもうるさい。いやがらせか? と思うくらいのときもあるから、アメリカに向かってつばも吐きたくなる。

ここ数日、NLPも行われているから、大体2機ずつ飛んできてうるさくてしょうがないのだ。

 

それはいいんだけど、、、。

日本にはステルスは来ていない、という話を聞いたことがあった。

ところが、私はステルスを見たことがある。

たぶんステルスだと思う。

かなり上空をひらひらと音もなく木の葉のように飛んでいるステルスを見たとき、「こんな飛行機ばかりで戦争が行われたら、知らない間に死んじゃうよな~」と思った。

静か過ぎるのだ。気味が悪いくらい静か。

きっとそのうち、戦争って静かに始まって静かに終わるようになるんだな…と、このとき思った。

 

「となり町戦争」のなかで、「何で始まったかわからない渋滞が、急に解消されるような」という自然渋滞のことを、戦争の始まりと終わりの例えとして出てきた部分があった。

この部分は不思議と共感できた。

静けさのせいか、わけがわからないせいか。

何らかの思いを残す小説ではある。


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kaz-i

TBありがとうございました。
同じような読後感を持ちました。
偉そうなことを言わせてもらえば、アイデアとか構成とか文章は洗練されているが、ぐわーっと胸に迫るものがない・・・・・・とでも言えましょうか。同じ事を私も先輩たちに言われ続けているのですが。男女の関係もなにか淡泊で物足りなかったです。
好みの問題になるのでしょうか?
by kaz-i (2005-10-15 00:22) 

toro

kaz-i さん、nice!&コメントをありがとうございます。
何だか今思ったことなのですが、この筆者は「溺れちゃったのかもしれない」という気がしました。何に? といったら、アイデアや構成や文章になんですけど…^^; 編集者のせいかなあ~。パンチ(死語?)がないというか…。
kaz-i さんと同じく、物足りなさが残りましたよ~(残念!)。
by toro (2005-10-15 12:00) 

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