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高知その① [旅話]

夫T君がエコツアーキャンペーンなるとある企業のキャンペーンに応募していたらしく、久しぶりに大物の賞品をゲットした。エコツアー10万円分。

「何? エコツアーって?」とT君に投げかけるも、「う~ん、よくわからん」との返事。賞品当選の郵便物を見れば、8ヶ所から選べるようになっていて、詳細は旅行代理店と相談せよ…とある。

久しぶりの大物賞品でうれしかったものの、エコツアーって何? と疑問符が頭の中をグルグルと回りまわった。

くじ運のいいT君はこのごろ当たりが悪く、くすぶっていた感があったが、久しぶりに当たってみればエコツアーて?

何かを暗示しているのかとドキドキしてしまった(笑)

そして旅行代理店に連絡すると、その8ヶ所から一つを選び、自分たちでツアーを組んでくださいと。10万円を超えたら自己負担でね…ということだった。

なるほど。

しかし、この8ヶ所がまた悩ましいところで、できれば1泊2日くらいでおさまるところがいい。なんたって猫のD君がいるから。

ついでを言えば、エコツアーとはいえあんまり歩かないで済むところ…。体力に自信なし(笑)

そうして白羽の矢が立ったのは、「四万十川・足摺岬ツアー」。

たぶん自分たちでは決して組まないツアー先であるということ。東北・北海道をツアー先に選ぶこともできたが、1泊2日では厳しい。それに北のほうはこれから行く機会がありそうだし。そして、あんまり歩かないでノルマを果たせそう、というのが理由であった。

そう、「四万十川・足摺岬ツアー」のエコ部分のノルマは、四万十川で川下りをすること。それから、足摺岬で星を観察すること、だったのだ。

うん、これならノルマが果たせると、軟弱な夫婦は考えた(笑)

そうして、夏休み最後の週末に、私たち夫婦の夏休みエコツアーが決行されたのでありました。

こういう賞品でもいただくことがなけりゃ、夏休みの旅行なんてなかったしなあ。ありがたやああである。


高知空港.JPG

羽田から朝便の飛行機に乗って高知へ。「高知龍馬空港」だ。龍馬か……。

そこでレンタカーを借り、ひたすら四万十川を目指す(車でバウバウ行くところが全くエコではない^^; でもエコツアー)。
高速へ.JPG


実は四万十川といえば「日本最後の清流」と言われているだけに、かなり期待が膨らんでいた。何というかこう、爽やか風が吹いてきて、清んだ水と魚たち…そして緑豊かなところ…と。「清流」という言葉にやられていたからかもしれない。

清いイメージがドンとあった。

で、行ってみれば……。

四万十川-2.JPG

四万十川-1.JPG

四万十中洲.JPG

うん、ま、いっか。

夏なんで藻が生えてしまっていて、透明度が低く、ましてや暑いから爽やかな風なんて吹かないし……^^;

あれ? あれ? となったのは言うまでもないが、ちょっとイメージが違った。

あんまり感動しない。いや、どす黒い腹の持ち主のいい加減に大人だから感動が薄いのか……。ま、いーや。

ノルマ第一弾。
舟母.JPG

舟で川下りをする…でありました。




さて、少々話が変わるが、レンタカーで高知龍馬空港から四万十川へと向かっていたときのこと。とにかく四国の山の谷間を縫っていくのだが、この道でやたらと眠くなるのであった。

なかなか風景は変わらずに、ひたすら谷間。

ようやく、海の近くに道に出ると何とか眠気も飛んでいったのだが……。


もちろん帰り道も谷間を縫って行かなくてはならず、また眠気と戦いながらの道中となった。

その道中、T君が、「オレはこういう谷間は嫌いじゃ」と言い出した。聞けば、眠気もさることながら、どうやら息苦しさを感じていたらしい。

確かに何ともいえない閉塞感がある。横を見ても前を見ても小高い山山山。見通せるところがほとんどない。

「こういうところでは暮らせないなあ~」とつぶやくT君。

できれば北海道に移住したいと思っている彼は、だだっ広いところが好きだ。私もそうだけれど、風通しがよくないと耐えられない。

息苦しさを感じる高知の道を走っていて、<こりゃ~確かに厳しいなあ>と思っていた。それでぼんやりと考え事をしていたら、、、。

「そうか!」と、急に思い出したことがあった。

大江健三郎さん。

高校時代にやたらと読みまくった作家である。高知ではないが四国は愛媛の出身。

その彼の初期の作品の中に、やたらと「谷間」という表現が出てくるのだ。

そして「そうか、これか」と。

このイメージの中で作り上げられた小説なんだなと。

死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

死者の奢り・飼育 (新潮文庫)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1959/09
  • メディア: 文庫



遅れてきた青年 (新潮文庫)

遅れてきた青年 (新潮文庫)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/11
  • メディア: 文庫



日常生活の冒険 (新潮文庫 お 9-6)

日常生活の冒険 (新潮文庫 お 9-6)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/08
  • メディア: 文庫



万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

  • 作者: 大江 健三郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1988/04
  • メディア: 文庫


愛媛の谷間と、高知の谷間は多少は違うのかもしれないが、しかしこの谷間の閉塞感。

こういう実体験がなかったら、生み出されなかった小説だと思った。



ちなみに大江健三郎さんの小説は、今は一切読んでいない。

「イーヨー」と呼ばれる、たぶん彼の息子をモチーフにした作品ばかりになってしまったから。

障害を持った息子を題材にするという行為が、何となく好きになれずに、いつの間にか読まなくなってしまったのだ。





高知、つづく。
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コメント 5

mamire

エコツアーの懸賞で10万円って、たいしたものだなぁと思います。
四国あたりだと、二人で10万円の範囲内なのですね。
一昨年、一瞬だけ、四国に渡ったけれど未開の地です。
ゆったりとした川の流れはいかがでしたか?
続きを楽しみにしています。

by mamire (2008-09-03 14:23) 

こぎん

四万十の青海苔っていうのを・・・ありがたく頂いたことがあります。
味わいました・・・味わえるものか??

マダム~~! なぜ、マダムなのに当たるのかしら?
うちみたいな貧民に当たれば・・・ええ、やっぱそれでも東北だったな~。
ご馳走は美味しかったかしら??
閉塞感か・・・なんともいえぬものの気も棲みついているのかもですね。
こんなただ旅行・・・当たってみて~。

八甲田ゴールドラインは・・・先の見えないカーブだらけでとっても寝てなんぞおられませんぞ。
手に汗握るスリルがおます。お勧めします!!(^w^)

by こぎん (2008-09-04 08:34) 

toro

*mamireさま*
ちょうど10万円って感じでした。高知市内にあと1泊できたかもしれませんが、
レンタカーを借りたので^^;
四国ってなかなか行けませんよね。。。京都に住んでいたときに松山と宇和島に
行ったことがありましたが、どちらも結婚式で全然観光もせずに印象に残って
いませんでした。今回は記憶に残りそうなので、それはよかったなと。
あんまりいい写真がなく、続きは期待できないかも、です。ごめんなさい。
足摺岬では豪雨……。


*こぎんさま*
四万十川の青のり…買ってきましたよ~。まだ食べていませんけどねえ。
青のりの佃煮もありますが、これは江戸むらさき…ごはんですよ~ですね^^

おーほっほっほ。マダ~ムですからっ(笑)←意味不明^^;
でも小さい子どものいるような家庭に当たればよかったのにね…とちょっと
思いました。すんません。くじ運が何気なくいいもんで…えへへ。
選択肢に実は白神山地ツアーっていうのもあったんですけど、1泊2日では
厳しい~感じで諦めたんですよ~。結構歩かなくてはいけないツアーだったんで。
軟弱な夫婦だすねえ。でもきっと雨だったですよ、このときは。 それはラッキ(?)
by toro (2008-09-04 10:49) 

あじごん

ノルマがあるのね,エコツアー。
でも、すごいね、当たるのね!
いい感じの小舟じゃが…ドンブラコッコと谷間ばかりとは…。
続きは四国のおいしいめぐりかな?
by あじごん (2008-09-04 13:40) 

toro

*あじごんさま*
エコツアーといったからには、エコを感じてもらわにゃと主催者は考えたんでしょうねえ。
なのでノルマあり。その割に自由に考えられるツアーだったので楽だったです。
そうそう、懸賞は当たるんですよー。でも応募しなくては当たらないの^^;
by toro (2008-09-05 08:41) 

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