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ばあさんの味、おふくろの味 [家族の話]

昨年1月に他界したT君のお祖母さんの三回忌が行われることになった。

考えてみると、T君のお祖母さんの死から、昨年9月には義父が亡くなり、今年4月には伯母(伯父の奥さん)が亡くなり、7月には母…。結構、怒涛^^; 8月にはこれからいろいろと教えていただきたいと思っていた男性も急逝していて、ある意味衝撃が大きいこの2年間であったが、これで打ち止めになって欲しいと願うばかりである。

それでお祖母さんの話。

悲しいことに、T君の母方の兄弟・姉妹の間でほとんどお祖母さんの思い出話が聞かれない。お通夜の席でも全然出なかったし、昨年末の1周忌のときも全然聞かれなかった。「お祖母さんの逸話は何もないのかっ?」と思ってしまうほどである。果たして三回忌の席ではお祖母さんの思い出話は聞かれるのだろうか。

まあ、そんな風で悲しいことこの上ないのだが、T君と私とで、ふとしたときにお祖母さんの思い出話が出てくる。

何が印象的だったかというと、くしんぼうの私のこと。「お祖母さんはお料理が上手だったよね」と…。

私たちがお祖母さんとの付き合いがあった最後のほうでは、ややボケてきてしまっていたのか、料理がへんてこりんになってしまっていたけど、元気なうちは、私たちをもてなすのが嬉しかったのかもしれない。お料理を作っては待っていてくれた。

私が大阪で働いていたとき、会社からはお祖母さんの家のほうが近かった。帰りにお祖母さんのところへ寄って夕飯が食べられたならば「ラッキー^^」と思ったくらい。美味しかったからなあ。

つまり家庭料理ではあるんだけど、関西風の薄味で上手に作るんだ。魚のお刺身も関西風で、鯛の皮付き(湯引き)のものとか、鱧とか、行商に来るお魚屋さんでいつも買っていたらしいのであるが、それがとても美味しいのだった。お魚屋さんもよかったんだろうけど、お祖母さんも上手にお付き合いしていたんだと思う。だから、いいものを手に入れることができたんだろう。

お祖母さんのお陰で関西風(白身魚)のお刺身を覚えたといっても過言ではない。

あと、菜っ葉の煮びたし。

うちは関東以北の人間ばかりだったから、関西風の料理はほとんどなかった。菜っ葉の煮びたしも食卓にあがらなかった…と記憶する。あったとしたら、「おひたし」。。。似て非なるものなんだな。煮びたしの要は出汁なんだと思う。関西風の出汁だから美味しいんだろう。関東では味わったことがなかった。

それは京都で暮らして7年の間、お祖母さんが作ってくれたことで覚えた料理の一つである。

もう少し元気でいてくれたなら、料理を教えてもらったのにと悔やまれる。

転じて、私の母のこと。

昨年の大晦日の料理が母の最期のおもてなしだったと思う。いつものお客様を招いて、飲んで食べて……。

しかし残念なことに、この頃は味覚障害が始まっていて、ときどきへんてこりんな料理を作ってはいたが、さらにへんてこりんな料理になってしまっていた。「いや、そんな作り方しちゃダメだろう」というようなことがあったけれど、「母が満足するならいいかな」なんてことを思っていたように思う。

その母のおふくろの味というと、奇妙なことに「ホットケーキ」なのだ。

肉じゃがでもなければ、カレーでもない。小さいときによく作ってもらっていたホットケーキがおふくろの味といえるような気がするのだ。(以前、おふくろの味はない…と書いた覚えはあるが)

ホットケーキを焼いてくれるのは、必ず父が出張中だったり、入院中だったりしたとき。朝食は和食でなければならない父の前ではホットケーキを全く焼くことができなかったのだ。トーストですらありえなかった。なので、父が不在のときに焼いてくれたホットケーキの味というのは特別なもので、私にとっては「ハレの日」だった。

父が死んでからは、そんなことは全然なく、親子3人で気ままに暮らすようになってしまったから、「ハレの日」もいつの間にかなくなってしまったけど。

そして、T君。

「もう何年もおふくろの手料理って食べたことがないよ」と言う。

確かに、T君のお母さんは全く料理をしなくなってしまった。面倒くさいということもあるのだろうが、、、。

こればかりはどうのこうのといえないが。

 

最後に自分のこと。自分の手料理である。

外食が続いたり、出来合いのものばかり買ってくる日が続くと、「やっぱり自分で作った料理が食べたい」となってくる。上手下手でいうと、たぶんフツーの料理の腕である。習ったこともなく、自己流だけど……。年を重ねるとともに、「自分で作ったほうが美味しいや」なんて思うことが多くなってきた。結局のところ、自分で作れば素材の出所は、業者の偽装がない限りははっきりしているから安心ということもある。出来合いのものの素材などは何が使われているかわかったものではないし。

(いや、それより「赤福」の偽装……偽装以前にどれだけ合成保存料が入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいんだけど)

出来合いのものを買ってきて食べて気持ちが悪くなる、ということも増えたし(とくにハンバーグはダメ;;)。

ここで、元に戻る。いま思うと、早くにお祖母さんにお料理を教えてもらえばよかったと何度も何度も悔やまれる。誰にも習ったことがないから、せめて「ばあさんの味」を覚えておけばよかったと思うのだ。

もう丸々2年が経つんだなあ~おばあちゃんが死んでから。残念なことだ。

 

さて、おまけ。

母の形見としてもらったものの中に、私の母方の祖母のものがある。なぜか祖母の形見も私のところに。

あー暗くてわかんないか。

たぶんね、貧乏人の子沢山でお金もそんなになかったと思うんだ。そんな中で買った宝石は、とっても大事にしていたんだろうなと思う。私の祖母は、よく心配をして出てきてくれるからと、母は私に持たせたようであった。(←これはオカルトバナシだけど^^;)

 

ちなみにT君のお祖母さんも寅年で、私の祖母も寅年。私たちも寅年ときたもんだから、縁起がいいかもねえ。なあんてな。

だいたい、私の祖母はまんまトラさんという名前でしたから。。。タイガーばあちゃん^^

 

おしまい。

 

お祖母さんの思い出話でした。

 

 


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もりけん

toroさん、
不思議ですよね。同じお料理をつくっているのに、家庭毎に味が違うんですよね。私もお袋がつくってくれた丼にいっぱいの「茶碗蒸し」が懐かしいですね。(私は茶碗蒸しが大好きだったので特別に丼でつくってくれていました)
by もりけん (2007-10-29 16:19) 

コメントしたことはいっぱいあるのだけど・・・
取り急ぎ・・・マダ~ム、吉兆もやらかしたですわ。次々と出てくるざ~ます。
メーカーの不祥事ではないけど、保存料・・・どんだけぇ~~?

ここに登場のT君のお婆さんって・・・あの方ですね?
とてもいい方にお会いできたのですね。
お料理って、食べてくれる人がいてこそですもん。
toroさんが食べてくれて、嬉しかったと思いますよ~。

ウチも小家族だけど、ぼんが居るか、居ないかでモチベーションが下がるし・・・面倒な時の方が多いし・・・。
私は祖母が上手でした・・・田舎料理でしたけど。食材は山も海の幸も新鮮・豊富でしたし。
母は、下手ではないけど、好きでもなかったようです。
母の遠足のお弁当に入ってくる卵焼きは。。。黄色と黒で、虎模様でしたよ。
ある日、友達の卵焼きを見て・・・開眼しました。
これは卵焼きぢゃ~ないって(^w^)
なので、自分で作ることにしました。中学校の頃かな?
必要に迫られたんですね。ある種、感謝しています。
by (2007-10-29 20:46) 

デザイン屋

亡くなった方を思い起こすこと、いいことですね。
私も親しかった先輩であり友人の方の一周忌に合わせて
次の日曜に20数人で偲ぶ会を決行します。
この人、多趣味で好人物、盛り上がりを期待しているんですよ。
by デザイン屋 (2007-10-29 21:13) 

toro

*もりけんさま*
丼茶碗蒸しですか。お母様は豪快な方でいらっしゃったのかという側面も
ちょっと想像してしまいました^^;
そう、不思議ですよね、家庭ごとに違う味。他所の家庭でいただいた
お食事ほど新鮮に感じることはないです、そういえば。
その家庭だけのルールというのも存在して…面白いですよね。

*こぎんさま*
そう!吉兆まで!やってくれますよね~。賞味期限が改ざんできるほど
の保存料ってどんだけえ~!って思いますよ;;

お祖母さんについては、結婚したばかりのころからの付き合いで、初めは
毎月なんだかんだと電話をかけてきて、ウルサイやっちゃなあと思って
いたんですけど、いつの間にやら好きなことが言える相手になってました。
義母ではありえないんですけど…^^;

料理の上手下手はどこで決まるんでしょうね。うちの母も上手な方では
なかったと思います。やっぱり夫のお祖母ちゃんは上手だったなあ。
私自身の祖母はもうすでに高齢だったので、上手だったのかは分から
ないし…。
あーそーだなあ。私も夫に食べさせるというのでモチベーションを保って
いるような気がします。

*デザイン屋さま*
故人を偲ぶというのも供養の一つだと思うので、いいことですよね。
偲ぶ会…家族だけではなく、友人の間でできることが素晴らしいと
思います。
by toro (2007-10-30 09:17) 

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