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整理。 [プンプン]

今回の安保法案の成立で、頭に来ていることがたくさんありますが、これは整理して物を考えないと混乱のもとと感じています。

なにしろ、法案成立の賛否、法案内容の賛否、手続きの問題、政府への信任不信任、選挙問題等々、いろんなことが問題としてあぶりだされているので、単純に反対であると表明するだけではなく、なぜなのか、どうしてなのかということを整理して提示しないと、理解度が低くなるばかりと思っているのです。

果たしてちゃんと理解しているのか。

現在、内閣官房、内閣府、外務省、防衛省が出した『「平和安全法性」の概要」を読み直しているところで、この法律の中身については追って述べたいと思います。

(とはいえ、読み進めれば、国会で政府に投げかけられた質問と同じような疑問が生まれて、結局法案成立後もその質問に対する明快な回答はなかったわけで、何をかいわんやという感じなんですよ。疑問が浮かぶたびにつっかえてしまう。ホント、政府はちゃんと説明責任を果たしてほしいわ、と心から思います。)

まずは一番問題だと思っているのは、手続きについてです。

国会(参議院・委員会)のあの可決されたときの映像をたまたまリアルタイムで見ていたのですが、「はあ?」と呆れるような採決風景でした。誰がどう賛成したのかなんてわかりませんでしたし、ましてや委員長(代理?)が何を言ったかさえわからない状況でした。

あれで採決した・可決した、と言えるのか。

全くなっていない手続きの一つです。

それ以前に、憲法学者のほとんどが「違憲」と言った法案を、どうして成立させるのか全く理解できませんでした。

ほんの数人が違憲ではないとしただけで、法律を制定していいのか、という話です。

この手続きに関しては、違憲だと言うならば、まずは違憲とされる部分の憲法を改正して、それから法案の議論がなされるべきです。

それが、憲法改正をすっとばして法案成立ですよ。これは、「憲法とはなんぞ?」と問われる事件です。

「明鏡国語辞典(大修館書店)」には、「憲法」とは何と書いてあるでしょうか。見てみましょう。

「憲法とは国家の統治機構などの基本的な事項を定めた最高法規。他の法律や命令によって変更することはできない。」と書いてあります。

日本弁護士連合会のサイトではこう記されていました。

「憲法は、国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)について国民が定めた決まり(最高法規)です。

たとえば、国民の表現の自由を守るため、憲法21条は「…表現の自由は、これを保障する」と定めて、国に対し、国民の表現活動を侵してはならないと縛りをかけているのです(これが「基本的人権の保障」です。)。

このように、国民が制定した憲法によって国家権力を制限し、人権保障をはかることを「立憲主義」といい、憲法について最も基本的で大切な考え方です。

そして、国民の権利・自由を守るため国に縛りをかけるという役割をもっている憲法が、簡単に変えられてその縛りが緩められてしまうようでは困りますから、通常、立憲主義の国では、憲法を変えるには、普通の法律を変えるより厳しい手続が必要とされています。

憲法は、国民のために、国民の権利・自由を国家権力から守るためにあるのです。」

今回のこの法律で大きく取りざたされたのは、この憲法解釈をめぐるものでした。専門家たちは一様に政府が出してきた解釈は「違憲である」としたにも関わらず、法案を成立させてしまったのです。

『日本は「立憲主義」の国ではないのか』と、反対をしている人から多く聞かれたと思います。明らかに政府の行ったことは立憲主義に反することです。違憲なのですから。

日本弁護士連合会の言葉を借りれば、「国民の権利・自由を国家権力から守るためにある憲法」を無視して法案を成立させたわけです。つまり、国民の権利・自由が国家権力に脅かされたと解釈できるのではないでしょうか。

国民は国家権力に蔑ろにされたと、私は理解しました。

ここで、「国民が選んだ国会議員なのだから、そもそも国民が悪いのではないか」と言い出す人がいるかと思います。

こうなると民主主義って何ですか? という話になるのですが、その前に選挙について述べたいと思います。

国会議員は多数決で決まるというのは、どの人もわかっているでしょう。でも、「一票の格差」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

この格差については、訴訟問題にまでなっています。最高裁判所の判断では、これも「違憲」であるという判断がなされていますが、選挙の無効にまではなっていません。そのため一票の格差是正は行われていない状況です。

私は神奈川県在住ですが、一票の格差から考えると、一票の重みは0.5程度なんだそうです。夫婦2人で一票にしかならない計算になるようです。いい大人が半人前ですよ(笑)

一人分の意見として反映されていないのが、日本の選挙制度の現状です。

さらに、「小選挙区制」の問題。

一人しか当選しない選挙について、ここで、ひとつの例を挙げましょう。

A地区という選挙区があったとします。

候補者が二人。自民党のBさん、民社党のCさんが立候補をしました。

選挙を行い、開票をしてみればBさんは10001票、Cさんは10000票でした。当選したのはBさんということになります。

たった一票差でBさんが当選です。Cさんに投票した人たちの意見はどうしたらいいのでしょうか。

これが中選挙区制であったらどうなるでしょうか。一つの選挙区から、3人が当選するということにします。すると、Bさんも、Cさんも当選です。Cさんの10000票が生かされるということになります。

また、一人しか当選できない小選挙区制で、3人の候補者が立候補したとしましょう。

Bさん10000票、Cさん5500票、Dさん5000票となると、やはりBさんの当選です。

これでは、CさんとDさんに投票された合計10500票が全く生かされないことになります。Cさん、Dさんの2人が立候補せずに、どちらか一人だったら、Bさんを押しのけて当選ができたとも考えられるのです。

まるでトリックのようですが、いまの選挙区制はこういった問題があるのです。

全有権者の中での得票割合(絶対得票率)を見るとわかるのですが、赤旗から引用します(共産党を嫌う人が多いと思いますが、こういう数字は自民党からは出てこないので)。

昨年末に行われた総選挙によると、「全有権者の中での得票割合を示す絶対得票率でみれば、自民は比例代表選挙で16.99%、小選挙区で24.49%しかありません。」ということです。

にもかかわらず、自民・公明で議席の2/3以上を占めることに。

でも小選挙区の絶対得票率では24.49%ですよ。1/4以下です。

これが民主主義なのでしょうか、ということです。

「国民が選んだ議員だから」と言いたいことはわかります。でも、この選挙制度の歪みともいえる欠陥のせいで、民意が反映されないということが起きていることは念頭に入れるべきなのではないでしょうか。

では、昨年末の選挙結果ですが、東京3区を見てみます。

石原宏高氏(自民) 115,623票
松原 仁 氏(民主) 111,353票
香西克介氏(共産)  34,295票

4,270票という僅差で石原氏が当選しました。

これがもし松原氏、香西氏のどちらか一人が立候補して、このお二人の票が一人に投票されたとすると、合計で145,648票となり、石原氏を破り当選したことになります。

2人分の得票数を合わせれば、石原氏の得票数を上回るのです。

でも残念なことに、石原氏が当選したことで145,648人が投票した票が捨てられてしまったわけです。

これが多数決だから仕方がないと言える状態なのでしょうか。どう見ても民主主義の国家がやっていることとは思えない。

絶対得票率の、自民党に投票をしていない(棄権している人もいるけど)有権者の75.51%の意見は、消えてしまっていると考えてもおかしくないと思います。

大きな政党に有利に動く小選挙区制も、いまの国会を作り出してしまった弊害だと私は思っています。

一票の格差と小選挙区制。これはいくら選挙に行ったって、なかなか変えられないカラクリになっています。

ただ言えることは、捨てられてしまった票である有権者の意見も聞き、それを国政に反映させるのが「民主主義」というものです。それを国会議員は忘れてはいけない。それこそ議員の責務です。

国民ももちろん忘れてはいけません。憲法のもとでは、主権者は国民なのですから。



ということで、今回整理したのは、以上の手続きと選挙についてです。法案どころか、体制の成り立ちから間違っているというお話でした。

おしまい。




オールブラックスのカッコいいハカを貼り付けます。気合が入るわ~^^

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nakasama

うーん、そうなんですよね。
ごもっとも!です。
憲法改正するにはもっと反対運動起こるから、やらないでしょうしね?
そもそも今までの様々な問題に都度、特例で複雑に放置してきてしまった結果でしょ?もうね、溜まりに溜まって卵が先か?鶏が先か?そもそも何の鳥?ってことになってますね?
それにしても選挙法早く何とかしてほしいですけど、そういう人達が自分達の為に作った選挙法、せめて総理大臣くらい国民投票にして選ばせてもらいたいんですよねぇ。。。
by nakasama (2015-10-02 09:48) 

toro

*nakasamaさま*
まずは選挙を、と思いますが、こんな制度ですからね。
自民党憎しが日々深まるばかりで、嫌になってきました。
打つ手がないという(笑)
だからデモを起こすとか、そんなことぐらいしかできないけれど、
やるしかないんですよ……。
デモに批判的な人も(たとえば芸人さんとか)、少し考えればわかると思うんですけどね。
マスコミも自民党寄りだから、どうしようもないのかなあ。
ついでにNHKの受信料が税金化されたりしたら大変ですよ。
NHKにクーデターを起こしてもらうしかないという状況になってしまいます。
本当に世も末。

*大和さま*
ありがとうございます。
by toro (2015-10-02 11:16) 

タックン

こんばんは。
TVを見ても新聞を読んでも、モヤモヤイライラするばかりです。
成立したとたんに、何事もなかったかのように「一億総活躍社会」とかを唱えるのを見ていると
国民はずいぶん甘く見られているなぁと思います。
選挙制度のカラクリもなるほどなぁと思いました。
参議院選挙では、野党は何とか共闘して自民党議員の数をとにかく減らして欲しいですね(難しそうだけど)。
「一億総活躍社会」よりも「成熟社会」を目指していくべきだと思うのですが・・・。

toroさん ラグビーでも熱いのですね^^
by タックン (2015-10-02 20:22) 

toro

*タックンさま*
おはようございます。
「一億総活躍社会」という言葉を聞いたとき、「活躍したくない~」と瞬時に思いました^^;
今日なんて、木原稔前青年局長が1年間の役職停止を3カ月に縮小するなんていう報道が
あって、ぶっ倒れそうになりました。やりたい放題と言わずしてなんだろうと。
野党は頑張って共闘しないといけないです。ぜひ頑張っていただきたい。
「成熟社会」……、そうですよね。人口が減って、労働人口も減ってきますから。
よその国の紛争に首を突っ込んでいる場合ではないのに、と思います。
(それはアメリカもそうなんですけどね←アメリカの場合は貧富の差。相変わらずの人種差別。それから経済。)
想像するだけで破綻に進んでいることがわかります。悔しいです。

ラグビーはもう……今晩のサモア戦へ準備を始めなくては~(笑)
by toro (2015-10-03 09:54) 

空の下

政治家の人たちも、ラクビーのように一度ノーサイドにして、またやり直してもらえたら素晴らしいのですが。
by 空の下 (2015-10-07 00:38) 

toro

*空の下さま*
ホントにそうですね。そもそもからやり直してほしいものです。
でも、政治家さんたちはノーサイドの意味すらわからないかも?……^^;
by toro (2015-10-08 08:52) 

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