SSブログ

ようやく行けた美術展 [芸術・文化]

昨年末から行きたい行きたいと思っていた美術展。ところが、11月の終わり頃から義母の調子が悪く、そうそう……このときも救急車に乗って病院に行っていたのでした(何回救急車を呼んでいるのやら)。

退院後も、オットT君の実家へ義母の様子を見に行かなくてはいけない日が続いて、行きたくても行けなかったのでした。

赤瀬川さんの展覧会、荒木さんの写真展、ナンシー関さんの回顧展に続き、東京国立近代美術館で開催されている「高松次郎ミステリーズ」。ようやく行ってきました。

義母もショートステイを始めて、呼び出しを食らうこともなかろうと。天気もいいし、いま行かないでいつ行く? という日和りです。

最寄りの竹橋駅で下車して、とことこと歩いて行きました。

竹橋。
竹橋.jpg

竹橋2.jpg

竹橋3.jpg

住所表示が細かいと言っちゃ細かいけど、まとめて表示しているところは雑(笑)
竹橋4.jpg

そして近代美術館。
国立近代美術館.jpg

高松次郎さんといえば、赤瀬川原平さん、中西夏之さんと一緒に行動をしていた「ハイレッドセンター」で有名かと思います。

ハイレッドセンターについてはこちら→

赤瀬川原平ときたから、高松次郎か? という感じですが、私のなかでは非常に思い出深く。

美術系の短大を卒業するとき、就職を選ばずに、もっと芸術に触れていたいということがありました。いやいや、家庭の状況を見れば、早く就職しろよ……という感じではあったのですが、いわゆるモラトリアムというやつですね^^;

芸術家になんてなれるわけがない、と心の中で思っていながらも、できれば近いところにいたいという気持ちが勝っていて、もう少し学びたいと思い悩んでいました。

そのときの選択肢が、赤瀬川さんのいる「美学校」か、高松さんのいる「Bゼミスクール」か、そのどちらかでした。

ざっくりと説明をすれば、60年代、70年代の前衛芸術を牽引してきた人たちです。

そして短大を卒業する頃といえば、80年代初め、前衛芸術というより、「軽薄短小」「おいしい生活」「ヘンタイよい子」というような時代。前衛芸術より、こちらだろうという風潮。

高松さんより、赤瀬川さんかなあ……と悩み、結局、学費の安かった美学校を選んだということがありました。

Bゼミは高かったんですよ;; 学費をアルバイトで稼がなくてはいけなくて、自分の力で支払えるのは美学校のほうだろうと。ちょい、軟弱なのでした……。

あの頃、Bゼミのほうに行っていたら、自分はどうなっていただろうなあ、と少し遠い目になります。

そんな思い出深い高松次郎さんの美術展。

感想を一言で言えば、ものすごく楽しかった!!! 行ってよかった!!! もう一回行きたい!

一言じゃないですね(笑)

作品は一言では説明できません。観念的だけど情緒的。思考を深く深く巡らすところは非常に哲学的なのだけれど、芸術家です。それを表現するとなるとどうなるのか。それが作品に明らかに反映されていて、メモなどを見ると、その説明している言葉の一つひとつがとても面白くて。見れば見るほど共感を覚えます(共感を覚える人は少ないかもしれないけれど、私はとても共感したし楽しくて仕方がなかった^^)。

影シリーズでは、写真撮影が可能でしたので、いくつか撮ってきました。

影は決して後ろについてくるというわけではない。(この影は私の影です)。
高松次郎.jpg


影はあるけれど、モデルは不在。(この影も私です)。
高松次郎2.jpg


影発生装置……って言ったらいいのか? 椅子の影を発生させた作品。
高松次郎3.jpg
高松次郎4.jpg


この影シリーズの考え方は大変興味深く、楽しく鑑賞できました。

購入してきた図録「Takamatshu Jiro: Mysteries」には、高松さんのこんな言葉はありました。

「影を(影だけを)人工的に作ることによって、ぼくはまず、この実体の世界の消却から始めました。(それはあくまでも消却=不在化であって<超越>ではありません。)この世界の中で<完璧性>を追求するために、それは最も素朴でストレートな方法だろうと思います。しかし、そこで問題になるのは、いうまでもなく、この世界そのものが枠になるということです。実在とは無関係な不在はなくとも、より純粋な不在というものはあると思います。ぼくがこれからしなければならないことは、実在性からどこまで遠くへ行けるかという実験でなければなりません。その仕事には、完成への収斂はあっても、決して到達がないことは承知のうえです。」(「影だけを」と「純粋な不在」に強調の圏点あり)。

これは60年代に記された文章のようです。

このなかの「素朴でストレートな方法だろうと思う」というところに、突き詰めていく方向性があって、その手法に実に共感を覚えたのです。それが影である、と。

すごく深く思考していった結果の作品と思うと、また感慨深くて、面白いです。

思考の深みのはまり方も、メモを見ると想像ができるので、深みにはまっていくイメージをするだけでも面白さが増しました。

いい物を見させてもらった、の一言。

最後に、高松さんと一緒に写真が撮れるコーナーがありました。これはユーモアだなあ。

サングラスをかけて、
高松次郎5.jpg

ご一緒すると^^
高松次郎6.jpg

楽しい。




この帰り道。日本橋駅で降りて三越に向かう途中で「うさぎや」があったので、どら焼きを購入。ここのどら焼きは買ったことがなかったので、足が止まってしまいました^^;

そしてこれ。
うさぎや.jpg

うさぎや2.jpg


美味しくいただきました。




おしまい。
nice!(6)  コメント(3) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 6

コメント 3

nakasama

あ、逆パースの影の方ですね^^
たしか、倉俣史郎さんのお店に影の作品を作られていたような???
って、検索したらこんなのもやっていたんですね〜(終わっちゃってますが)
http://www.cinra.net/news/20140617-cazador

学生の頃1度だけ倉俣事務所でアルバイトしました。^^
今でも倉俣さんは一線を画した特別な存在です。
皆さん早逝ですよね。;;

by nakasama (2015-01-30 10:33) 

toro

*nakasamaさま*
ありました。ありました。「サパークラブ・カッサドール」。
倉俣さんはあまり存じ上げないのですが、60年代にこんなことをして
いたのかと思うと楽しくなりますよね。
最近は、きれいだなあとか、可愛いなあとか、かっこいいなあ、とかで物を
見るのが終わってしまっているので、もう少し見て考えて感じたいと思いました。
もう少し時間をかけたいというか。

倉俣さん……本当だ。ずいぶんと早く亡くなられているんですね。
今度、こういうインテリアのことも聞かせてください~^^

*winona-0725さま*
*makimakiさま*
ありがとうございます。
by toro (2015-01-30 16:54) 

toro

*空の下さま*
*げいなうさま*
*シルフさま*
ありがとうございます。
by toro (2015-02-23 10:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

急展開運が強すぎる結果か ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。